BIO-ACOUSTIC SESSION – Listening to more-than-human worlds(draft)

最終更新日:2025年12月05日(内容は随時変更されていきます)

私たちが普段聴いている「音楽」は、ほぼ例外なく人間の身体と文化を基準に設計されています。 BIO-ACOUSTIC SESSIONS は、その基準を一時的に手放し、自然界に存在する「人間には聴こえない振動のパターン」を翻訳しなおすところから出発するセッション・シリーズです。

海洋生物、植物、昆虫、そして遠く離れた惑星や星々──。 彼らの「耳」を間借りし、彼らの「声」を聴く。そんな二つのアプローチを行き来しながら、人間が“主役”ではなく、環境や他の存在の一部として音に浸る体験を模索します。

実験のフィールド

1.水中セッション/魚たちの“耳”を間借りして聴く照明を落とした大水槽の前で、ハイドロフォン(水中マイク)が拾う「水の中の音」に耳を澄ませます。ポンプのうなり、水流、生き物の気配。音楽家はその音をリアルタイムで加工し、演奏を重ねます。観客は「水中に自分の聴覚を預けていく」ような没入感を体験します。
2.植物バイオフィードバック/植物の微弱な“声”を聴く植物園の温室などで、植物の葉や茎に取り付けた「生体電位センサー」からデータを取得。その微細な反応を音程やリズムに変換(ソニフィケーション)し、ミュージシャンは植物を“もうひとりのプレイヤー”として扱いながら、即興的なセッションを行います。
3.コスモス・セッション/惑星や星々の“響き”を聴く惑星周辺で観測される電磁波やプラズマの揺らぎを、人間の可聴域に変換した「星の音」を素材にします。プラネタリウムドームの星空の下、学芸員の解説と音楽家の演奏が交差する、宇宙スケールのアンビエント・ライブです。
4.超音波領域/コウモリや昆虫の“感覚”で世界を聴く人間には聴こえない高周波(超音波)の世界。それを可聴域にダウンシフトしてモニターしながら、本来そこに含まれている「聴こえないはずの音」と人間の音楽を接続させる試みです。

音の扱いについて(動物福祉と環境への配慮)

本プロジェクトでは、動物福祉と施設環境への配慮を最優先します。「人間にとって面白いか」以上に、「非人間にとって安全か」をすべての判断基準とします。

  • 専門家との綿密な設計
    施設側の獣医師・飼育スタッフ・研究者と必ず事前に協議し、対象生物にストレスを与えない音圧レベル・周波数帯域・実施時間帯を設計します。
  • 「無音」の選択肢
    必要に応じて、スピーカーからの拡声を行わず、人間側にはヘッドフォンのみで音をモニターする「サイレント形式」も採用します。動物や展示環境には物理的な振動を加えず、人間だけが聴覚を接続する手法です。
  • 環境負荷の最小化
    プラネタリウムや精密機器のある施設では、機材への振動負荷や近隣への騒音リスクを考慮し、既存プログラムと同等、あるいはそれ以下の安全なレベルで運用します。

実施規模・構成イメージ(案)

あくまで一例ですが、以下のような構成を想定しています。

1.イントロ&トーク(10分)前提知識の共有
2.SESSION Part 1(20分翻訳された音と演奏への没入
3.ミニトーク(10分)何が起きていたかの解説
4.SESSION Part 2(20分)より深い音響体験へ
5.アフタートーク(10分)キュレーターと音楽家の対談、および参加者からの感想シェア(気になった一文の共有など)。

※映像作品としては、パフォーマンス部分を中心に編集し、YouTube等でアーカイブ公開します。


共創プロセスについて(当日までの流れ)

この SESSION は、「フィールド(施設)」「研究者(翻訳者)」「音楽家(表現者)」の三者によるコラボレーションを前提としています。

1.ヒアリング & テーマ設定施設担当者や研究者の方から、フィールドの特徴(生物種、環境、音響条件)や、研究テーマを伺います。その内容をもとに、「今回はどんな非人間の“世界/耳”を想像するか」という仮説を立てます。
2.ロケハンと技術選定音楽家と技術チームで現地を訪問します。
・環境調査: 照明・動線・電源位置の確認。
・データ取得: 簡易録音や、使用するセンサー類(ハイドロフォン、生体電位センサー、超音波マイク等)のテストを行い、その場に流れている「聴こえない音」をサンプリングします。
3.構成と安全性の設計取得したデータをどう音楽的に変換(ソニフィケーション)するかを設計します。同時に、その演出が「生体や環境に負荷を与えないか」を施設側と最終確認し、時間配分や音量を決定します。
4.本番セッション(ライブ & 撮影)合意した構成に沿ってセッションを実施します。終了後、可能であれば研究者や飼育員の方へのインタビューも収録し、その背景にある科学的なストーリーもアーカイブします。

上記はあくまでたたき台としての案で、場所や参加者に応じてフレキシブルに組み替えていきます。


募集するコラボレーター

  1. フィールドを提供してくださる施設の方
    ・水族館、動物園、植物園、博物館、科学館、プラネタリウム、大学の研究施設など
    ・「自施設の研究テーマや展示を、アートや音響を通じて新しい角度から伝えたい」方
    ・閉館後の活用や、特別な教育プログラム(STEAM教育)に関心のある方
  2. 研究者・技術パートナーの方
    ・海洋生物学、植物生理学、音響生態学、天文学などの専門家
    ・センサー技術やデータソニフィケーションの知見を持つエンジニア
    ・「研究データを、論文以外の形で社会に届けてみたい」という想いをお持ちの方
  3. 音楽家/サウンドアーティストの方
    ・環境音、データ、ノイズなどを音楽的に扱うことに長けた方
    ・人間以外の存在(植物やデータ)との即興的な掛け合いを楽しめる方
  4. ビデオグラファー/映像作家の方
    ・少人数の現場で、音楽ライブやドキュメンタリーの撮影経験がある方
    ・自然光や既存の照明を活かしながら、場所の空気感をすくい取るのが得意な方
    ・長回しで「時間の流れ」を見せるカットと、ディテールのショットをバランス良く組める方
    ・可能であれば、編集まで担っていただける方(撮影のみ希望も相談可)

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2025.12.05: コンセプトドラフト公開

主催:白識|HASSHIKI プロジェクト(erto Ltd.)

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白識 | HASSHIKI では、本セッション/プロジェクトにご関心のある企業・団体・個人のみなさまとのパートナーシップ(協働・協賛)を受け付けています。会場のご提供、機材協力、作品制作の共同企画、ブランド/プロダクトとのコラボレーションなど、ご相談やお問い合わせは下記フォームよりお寄せください。